はじめに<面接対策の重要性>
一般的に、1次面接の通過率は15%~30%程度といわれています。すなわち、10人面接を受けても、通過するのは1名~3名程度しかいない難関ということが言えます。
その難関を突破するために重要になるのが、「面接対策」です。面接対策は、言い換えれば「事前準備の徹底」とも言えます。漠然とした丸腰の状態で面接を受けるのと、ご自身の考えをしっかりと整理し、企業研究を行ってから臨むのとでは、面接の場での受け答えに雲泥の差が出ることは容易に想像頂けると思います。
<面接の本質>
面接の場において、面接官が見極めたいと思っているのは下記2点に尽きると言っても過言ではありません。
- 【再現性】応募者の方が、入社後に活躍できる資質・実力を持っているか?
- 【定着性】応募者の方が、しっかりと定着して働いてくれるのか?
この2つのポイントが、両方揃って初めて合格ということになります。たとえば、入社後の活躍イメージがどれだけ明確に見える人でも、すぐに辞めてしまう印象のある方には合格は出ませんし、その逆でどれだけ長く定着して働いてくれそうでも、活躍イメージが持てなければ合格とはなりません。
面接で聞かれる質問は、すべてこの2点を見極めるためのものであると思っていただいても過言ではありません。
【再現性を見極める質問例】
- これまでの職歴の詳細
- 成功体験と、なぜ成功できたのか?
- 失敗体験と、どうやってそれを克服したのか?
- 営業実績
- 志望動機
など
【定着性を見極める質問例】
- 志望動機
- 転職(退職)理由
上記のうち、特に気をつけなければならないのは「転職理由」です。転職理由は、なぜ現職もしくは前職を辞めたいと思ったのかを話すことになるわけですが、実はこの質問の本質はなぜ辞めたのかを知りたいのではなく、「この人はうちの会社に入ったあとに、どんなことがあると辞めたいと思うのか」を見極めようとしています。
そのため、あまり環境に対する不満を強調しすぎたり、「業界の将来性に対する不安」を理由にするのは得策ではないと考えられます。組織で働く以上、思い通りにならないことも多々ありますし、業界の将来性についても、今の経済環境では将来性に不安がない産業などどこにも存在していません。よく応募者の方がおっしゃる「会社の将来性に不安を感じて・・・」という転職理由についても、「ああ、この人はうちの会社が厳しくなったら同じ理由で辞めるんだろうな」という印象を与える可能性が高いということです。
では、どのような考え方で対策をしていけばよいのでしょうか?その1つのヒントになるのは、
- 仕事を通じて実現したいこと(仕事を通じてどのように成長していきたいのか)
- 転職理由
- 志望動機
という3つの項目が、お互いに一貫性がある形で考えを整理しておくことです。
この3つの領域について考えを整理していただくことで、転職活動そのものに対する一貫性が増し、面接官にとってもより納得感のあるお話をしていただくことが可能になりますし、ご自身にとっても転職活動を見つめなおす機会にしていただけると思います。
<対策のコツ>
下記には、一般的に必ず聞かれる質問内容について、対策する上で心がけると良いポイントをまとめています。
① 自己紹介
自己紹介のパートでは、簡潔にご自身の経歴を述べるにとどめましょう。また、大事な第一印象ですので、明るくハキハキした印象を与えることに集中しましょう。気を付けなくてはならないのは、自己紹介のパートで聞かれてもいないのに長々とご自身の強みや実績をアピールしてしまうことです。
② 転職理由
前述したとおり、トライアングルの一貫性を意識しながら、常にご自身がなりたい姿、目指したい像をしっかりと明確に伝えたうえで、なぜそれが実現できない環境であるのかを考えていただくと良いと思います。
③ 志望動機
志望動機を考える際は、
(1) 業界への興味(→その会社が扱っている製品・サービスへの強い興味)
(2) 会社への興味(→社風や理念など、その会社そのものに対する強い興味)
(3) 仕事内容への興味(→受けている仕事・職種に対する強い興味)
という3つのポイントを必ず切り分けて整理しておくことをお勧めします。面接官は、「なぜうちの会社でなければいけないのか」を知りたいと考えています。上記の(3)だけを考えて面接に臨んでしまう方が多いのですが、(1)(2)を合わせてお話しすることで、「御社でなければいけない理由」を明確に話すことができます。
最後になりますが、一番大切なのは「時間を割いて自分に会いたいと言ってくれたことに対して、感謝の気持ちを持って臨む」ということです。事前準備をせずに面接に臨むことは、面接時間を確保し、ご自身に興味を持って履歴書や職務経歴書を事前に読んでから面接に臨んでいる面接官に対しても、失礼にあたります。ぜひとも面接前に思考を深めて頂き、人生における大切な転機をできるだけ多くの選択肢の中からチョイスできる環境を勝ち取って頂ければ幸いです。